こころをさがして

『フェラーリと鉄瓶』(奥山清行著 PHP)では、詫び寂びを「趣」を感じる心として取りあげました。で、この「こころ」ってなんだろう?と思い、肩肘張らずに読める良書はないかなとさがし『こころはどこへ消えた?』(東畑開人著 文藝春秋)に辿り着きました。帯には「心とは何か」心理士、渾身のエッセイと書かれています。いやはや、私なんぞは冒頭の「ちょっと長めの序文」からノックアウトです。確かに!と引き込まれていくのを感じつつ、各章を一気に読了。こころと向き合うバジーさん、否、東畑さんワールドを楽しませていただきました。

ネタバレになってはいけないの控えますが、「こころと根人」について書いておられるところなんかは、紙様が降りてこられたかの如く、私、三度読み返しました。切り捨てが美であった私たち…その昔、「皆まで言うな」という言葉があったと記憶しています。それが今ではどうでしょう。兎にも角にもエビデンスを集めてきて「どうですかお客さん!」とやらねばならない。正しいことを証明するために?あるいはリスクを減らすために?世知辛い世の中で「皆まで言うな」と背中で語れる人に、私は憧れる。

Leave a Reply