最近、和の道具に触れる機会が多いこともあり、あらためて、谷崎潤一郎先生の『陰翳礼讃』(中公文庫)を読んだ。有名な羊羹のくだりなどは、電燈という灯りが巷にで始めた頃、いや、もっと以前なのかな、仄暗い情景が瞼に浮かんでくるようで奥ゆかしい…。
とまあ、かっこよく綴れたらよいのですが、先が続きそうものないので本題に。こちら中公文庫の『陰翳礼讃』に一緒に編纂されている「厠のいろいろ」。とにかく爆笑!シュール!「ホエア・イズ・トイレット・ルーム」とか、生暖かいい湯気とか、アカンって!何度読んでも失笑してしまう。(いやいや、爆笑は失礼ですね。真面目なのかユーモアなのか切り口といい描写といい、知らない人が読んだらおよそ文豪が記したものとは思えないのでは。兎にも角にも常に情景が浮かぶように文章が描けるって、やっぱり一流の作家先生はすごいですね。そうそう、和の道具に触れる…ということもあり、柳宗悦の『手仕事の日本』(岩波文庫)と池波正太郎の『日曜日の万年筆』(新潮文庫)も読了しました。
それぞれの作家先生が記す、古き良き時代の『和』。時代の陰影に浮かぶ肌理?質感?に魅了されてしまう。どんなにテクノロジーが発達しようとも、デジタルでは表すことのできないアナログならではの良さを大切にしていきたいと、あらためて感じました。
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