生活骨董としての古箪笥

使い道があるならと、知人を介して譲って頂いた箪笥。経年の汚れで引き出しの開け閉めも一苦労。とはいえ、木材の価格が高騰している最中、焼却廃棄でCO2が出るっていうのもなあ…と。あてがあった訳ではないけれど、何とか使えないものかと思い、お願いして譲って頂きました。きっと購入当時は幾つかの箪笥を見比べて選ばれたのだろうなあ…、新品で納品された当時は重宝して使っていらっしゃたんだろうな…と、とある御仁と話していると「燃やして灰はありえへんなあ。使えるように修理できるなら、使わしてもらおうかな…」とのお言葉を頂いた。そんなこんなで、以前、書棚を筆箱にリメイクして下さった指物師さんに無理を承知でお願いに。

引き出しの開け閉めをスムーズにして、ささくれ立った木地とか綺麗になるものですかねえ。そもそも修理ってお願いできるものでしょうか?「希少価値はないかもしれませんけど、大切にしてはったんでしょうな。おそらく大正後期か昭和初期に作られたもんやと思います、木は栗の木か、黄檗の木かな。こんな風に使いたいって希望を言って下さったら修理してみますけど」と快くお受け下さった!カンナをかけてピッカピカになるのも…ということで、今の風合いを残しつつ指物師さんの見立てで修理していただくことに。

お預けして3ヶ月後、見事に修理完成!引き出しはスムーズに開け閉めできるし、触った感触もサラサラ。お湯で汚れを落として乾燥させて、細部に渡って補修を施し、仕上げは目の細かいサンドペーパで地肌を整えてから自家製の蜜蝋で磨いて下さいました。「2〜3ヶ月に1回、乾いた布で乾拭きしてあげると、蜜蝋が馴染んでいい色になるますよ」とのこと。約100年近く前の古箪笥が職人さんの手で見事に蘇りました。生活骨董として、まだまだ活躍してくれます。

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